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今季のホンダはどうなる!?
text by
西山平夫Hirao Nishiyama
photograph byHirao Nishiyama
posted2007/02/21 00:00
2月19日、東京都内のホテルで「2007年Hondaモータースポーツ活動」体制発表会が催され、およそ450人の報道陣が詰め掛けた。
これはホンダの2輪・4輪すべてにわたる今季参戦体制を披露するもので、4輪の最高峰に位置するF1に関しては、イギリスのホンダ・レーシングF1チームおよびスーパーアグリF1チームと衛星回線を使って同時映像中継し、会場と現地でスクリーントークする新しい試みも見られた。スーパーアグリはボードの前に佐藤琢磨と今季からコンビを組むA・デイビッドソンが立ってのトークだったが、ホンダ・レーシングの方はJ・バトンとR・バリチェロの後方に新たに設置された空力測定装置の風洞(ウインド・トンネル)が稼動中の姿で映し出されており、大きな話題を呼んだ。
挨拶に立った福井威夫社長はF1に関して「今季は何回か表彰台の中央に立ってコンストラクター(製造者)チャンピオンを狙う」と宣言。あえてドライバーズ・タイトルに言及しなかったことから推測するに、まずはコンストラクター、次にドライバー・タイトルを……という基本戦略がうかがえ、将来ドライバー・チャンピオン奪取を狙うと宣言する時には現在のドライバーズ・ラインナップとは異なるメンバーになるのかもしれない。
今季のニューマシン、ホンダRA107についてホンダ・レーシングF1チームの中本修平シニア・テクニカル・ディレクターは「いまテストしていて、みなさんから“あんまり速くないじゃないか”と言われてます。たしかに問題が出て速く走れない部分もあるのですが、開幕戦までにはなんとかできる。今シーズンに関しては、昨年後半の開発スピードを維持できれば何回か優勝のチャンスも出て来ると思ってます」と述べている。テストラン中の新車は黒一色にHONDAの白いロゴが入っているだけだが、細いノーズと車体後半部の極端に絞り込んだラインが特徴的。この“カラス”も、2月26日にロンドンのナチュラル・ヒストリー・ミュージアム内のアース・ギャラリーでスポンサー・カラーにペイントされ発表されることになっている。
エンジンのRA807Eはレギュレーション上、排気量2.4リッター、形式は90度V型8気筒、最高回転1万9000回転と制約を受けるが、エンジンのホンダとしては「制限の範囲内で最高出力ナンバーワンを目指し、低中速のトルク性能のフラット化と燃費向上を達成し、信頼性を高める」と言及。単にパワーばかりでなく、扱いやすいエンジンとすることを目標においている。
いっぽうスーパーアグリF1の鈴木亜久里代表は「去年はレースしながらチームを作っているような状態だったが、今年は戦えるチームになったと思う」と決意を語り、新たに佐藤琢磨のチームメイトとなったA・デイビッドソンは「昨年最終戦ブラジルのタクマの10位フィニッシュはすばらしかった。そこから今シーズンをスタートさせたい」と抱負を語った。スーパーアグリF1の目標はもちろんポイント・ゲットだろう。
なお、F1とは関係ないがホンダがエンジンを単独供給するインディ・シリーズは今年からバイオ・エタノール(植物性アルコール燃料)を使用することが決定。これに関連して4月22日にもてぎで開催予定の「インディ・ジャパン」ではその燃料に対して酒税がかかるという問題が発生しているという。モータースポーツでは前代未聞の椿事である。