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日本人所属クラブがブンデスで躍進。
ドルトムントの成長はまだまだ続く?
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byItaru Chiba
posted2011/05/24 10:30
ドルトムントは2試合を残して9シーズンぶり7度目のリーグ優勝を決めた
エースを放出し、若くて才能のある無名選手を獲得する。
続く2009-2010シーズンは、思い切った改革を行っている。
それまでチームのエースだったフライを放出。代わりに、チリでプレーしていたバリオスを獲得したのだ。
バリオスの能力を高くかっていたクロップ監督は、開幕から1トップで起用。序盤はなかなか結果が出なかったものの、最終的にはリーグ3位となる19ゴールをマークした。チームも5位となり、2004年以来となるUEFAカップ出場権を得た。
このシーズンは現在のDFリーダーであるフンメルスがレギュラーに定着し、お調子者のグロースクロイツが、ユースからトップチームに上がれずにいたことで一度は別れたこのクラブへまた戻ってきていた。
徐々に見えてきたチームの形について、サヒンの証言。
当時の課題は、2つあった。
1つ目が、守備時のリスクマネージメント。前線からプレッシャーをかけにいくも、かわされて大量失点する試合があまりに多かった。スボティッチとフンメルスも、カウンターを狙う相手のロングボールへの対応が今ほど安定していなかった。
2つ目は、MFの得点力不足。FWのバリオスに頼りすぎる傾向があった。よって、バリオスが抑えられてしまうと、攻め手を欠いた。シーズン終了後に、サヒンは以下のように分析している。
「バリオスは、チームに得点力をもたらしてくれた。長い間、僕たちが求めていたものだよ。でも、MFの迫力が足りない。中盤の選手がもっとゴールに向かっていかないと」
今になって振り返れば、なんとも示唆に富んだ発言である。