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日本人所属クラブがブンデスで躍進。
ドルトムントの成長はまだまだ続く?
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byItaru Chiba
posted2011/05/24 10:30
ドルトムントは2試合を残して9シーズンぶり7度目のリーグ優勝を決めた
ドルトムントとシャルケの対照的なチーム補強策。
とりわけ、ドルトムントとシャルケのライバル同士がドイツサッカー界を盛り上げた。
ドルトムントの平均観客動員数は78,694人でリーグトップ。シャルケは61,368人でリーグ3位(2位はバイエルンの69,000人)。
ただ、両クラブのチーム作りは対照的だった。
若くて無名の選手が団結したことで力を発揮したのがドルトムントであり、ラウールとノイアーというスター選手に引っ張られてカップ戦で躍進したのがシャルケだった。
今回は、シーズンを通して磐石の戦いぶりを見せたドルトムントのリーグ優勝について振り返りたい。ドルトムント躍進の「今季の要因」はすでに過去のコラムで触れているので、2008年のクロップ就任後から始まったチーム進化の過程を徹底的に検証してみたいと思う。
チーム若返りから始まったドルトムントの長期戦略。
クロップがドルトムントの監督に就任した2シーズン前のメンバーを見ると、今季の主力の中では、ボランチのサヒン、CBスボティッチ、GKバイデンフェラーが活躍していた。
2008-2009シーズンの最終順位は6位。得点数はリーグ6位の60点、失点数はリーグ2位の37失点だった。現在につながる守備力の面影は見られる。
当時の最大の問題は、チームが若返りを図りつつある中で、調子の波があまりに大きかったことだ。例えば、7試合勝ち星から見放されていたかと思えば7連勝を飾ったこともある。
このシーズンが終了した直後、ツォルクSDはこんな風に振り返っていた。
「私たちの成長が始まりつつあるということだ。最終節に引き分けてEL出場権を獲得出来なかったことが問題なのであって、クロップ“新”監督が築き上げた基盤は素晴らしいものだ」