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ディープインパクト 血に託した夢。 

text by

吉沢譲治

吉沢譲治Joji Yoshizawa

PROFILE

posted2007/10/18 00:00

 「これで失敗したら大変なことになってしまいますが、その確率は低いとみています。あの小さな体であれだけの強い競馬ができるのは、天性のバネなんです。つまりエンジンの性能がいいわけです。これは種牡馬になったときにプラスに働きます。体の大きな繁殖牝馬を付けて、ディープよりも大きく生まれれば、もっと性能がアップする可能性がある。あのノーザンダンサーだってロバみたいに小さかったですからね」

 ノーザンダンサーとは20世紀半ばのカナダに誕生し、サラブレッド始まって以来の血統革命の嵐を、世界中に巻き起こした歴史的な名種牡馬である。確かにノーザンダンサーは小さかった。しかし、大きく生まれた産駒がさらに性能をパワーアップさせ、それが世界的な拡大発展の原動力となった。ディープインパクトにも同じ可能性があるのだ。夢が膨らむばかりではないか。

 シンジケートには申込者が殺到したが、組んだのは60株。ノーザンファームを中心とした社台グループと金子真人オーナーの分を除くと、分ける株数には限りがあり、ほとんどが余勢株(1年限りの種付け権利)となった。だが、生産者ランキングの上位にいる下河辺牧場と千代田牧場は、シンジケートの会員となる栄誉を得た。それぞれ100頭を超す繁殖牝馬を擁し、サンデーサイレンスとともに成績を伸ばしてきた牧場である。

 下河辺牧場はサンデーサイレンス産駒のスティルインラブ(牝馬三冠)、ダイワエルシエーロ(オークス)で4つのビッグタイトルを手にした。また今秋はフレンチデピュティ産駒のサンアディユ(スプリンターズS2着)が活躍を見せている。血統通として知られ、海外からの種牡馬導入にも深く関わってきた場主の下河辺俊行氏に聞いた。

 「サンデーの持ち味は瞬発力でしたが、後継種牡馬もそれを確実に伝えて成功しています。ディープインパクトはとくにけた違いの瞬発力でしたから、成功の確率は高いとみています。本株と余勢株を合わせて7頭に付けました。ただ不受胎と流産が1頭ずつ出たので、最終的にはロンドンブリッジ、ケイウーマン、カーラパワーなどの5頭です。ロンドンブリッジはサンデーとの間にダイワエルシエーロを出しましたからね。血統的な相性を考えれば、やはりディープインパクトに尽きます。カーラパワーはイギリス産の輸入牝馬で、初仔のターキーは3連勝で準オープン入りしています」

(以下、Number689号へ)

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#ディープインパクト

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