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横山典弘、「成熟」がもたらした24年目の初戴冠。
text by
阿部珠樹Tamaki Abe
photograph byKeiji Ishikawa
posted2009/06/08 11:00
皐月賞とは真逆の結果に笑うのはネオユニヴァース!?
「勝つときはこんなものかなという気持ち。ずっと調子はよくないと思っていた。だからこれで勝った馬に感謝。自分は最低限の役割を果たしただけですよ」
勝った横山はベテランらしく冷静にレースを振り返った。横山のダービーといえば、19年前のメジロライアンの印象が強い。レースの前はもちろん、2着に敗れた後も、「自分の馬が一番強いと思っている」と強気な姿勢を崩さなかった若い騎手は20年近い時間を経て、馬への感謝を自然に口にするベテランになった。ダービーの初勝利は成熟に与えられた勲章だろう。
皐月賞の1番人気、2番人気の馬が1、2着。普通ならありふれた決着である。しかし、2頭は皐月賞で14着、13着と大きく期待を裏切っていた。こんな巻き返しは例がない。一方、1番人気に支持されたアンライバルドは12着と大敗。皐月賞のロジユニヴァースと同じ苦汁を飲むことになった。明暗を分けた2頭の父は同じネオユニヴァース。もしかすると勝者はネオユニヴァースだったか。