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吉井の思いに応えた仰木監督“男のロマン”。 

text by

永谷脩

永谷脩Osamu Nagatani

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photograph byTamon Matsuzono

posted2005/03/17 00:00

吉井の思いに応えた仰木監督“男のロマン”。<Number Web> photograph by Tamon Matsuzono

 一度クビを言い渡された選手が、その球団と再契約したという例は滅多にない。'94年に長嶋茂雄監督を頼って西本聖が巨人入りしたことがあったが、西本は一軍マウンドに立つことなく引退した。

 オフにオリックスを解雇された吉井理人にチャンスが訪れたのは、合併球団の新監督に、仰木彬が就任したことだった。仰木の殿堂入りのパーティーで、吉井は「僕は仰木監督によってプロの人生を見出された。だから、自分の最後も見届けて欲しい。チャンスを下さい」と直訴。その願いを仰木は受け、吉井を宮古島キャンプにテスト生として参加させた。4月に40歳になる吉井は背番号のないユニフォームで宮古島にやってきた。ブルペンで投げる吉井を見て仰木は「この連中の中で魂の入った球を投げているのが何人いる? 吉井の一球、一球に生活をかけた男の切なさを感じられるのや」と呟いていた。

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