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春競馬が残した
今後の競馬界の問題点。
text by
片山良三Ryozo Katayama
photograph byKiichi Yamamoto
posted2008/07/10 00:00
本来華やかでなければならない春競馬が、大きな盛り上がりを迎えることなく、なんとなく終わってしまった。未だにディープインパクトの幻影を追ってしまうファンの欲深さと、それに応えられないもどかしさ。スターは人の手で作るものではないが、スターになれる素材を発掘し、伸ばし育てることは可能なはず。業界全体として、今年の失敗を教訓とし来年に生かしてほしいと切に思う。
もう一つの大きな反省材料は、JRAの裁決部門に不手際が目立ったことだ。特に大きな物議を呼んだのはオークスの最後の直線での出来事についての玉虫色の判定だった。勝ったトールポピーが、馬場の中央から最内まで切れ込んで、3着のレジネッタから9着のマイネレーツェルまで、多くの馬の進路に小さくない影響を与えたのに、「着順を変更するに至らない」としてしまったのだ。審判の主観による判定なので、それだけなら渋々でも納得するよりないのだが、問題はそのあとの往生際の悪さ。トールポピーに騎乗していた池添騎手には、「斜行を矯正しようとしない危険な騎乗」として、最終レース終了後というタイミングで実効2日間の騎乗停止処分を科したのだ。