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核心にシュートを!BACK NUMBER
「このまま行こう!」「“なあなあ”にしない」W杯ブラジル戦“ウェンブリーのハーフタイム”を再び…日本代表選手もスタッフも経験を積み上げたからこそ
text by

ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byKiichi Matsumoto/JMPA
posted2026/06/29 19:51
日本代表、史上最大の決戦。ブラジル相手に勝つために、過去の経験からぶつけられることとは
イングランド戦のハーフタイムでは悩みながらも、最後に「戦術を変えないでいく」と決められた意義を、渡辺は今、こう考えている。
「外で見ていることと、中で感じていることのギャップは絶対に起きます。自分たちが感じて“こうしたほうが良い”と思っていることもすごく大事だし、コーチ陣が外から見ていて感じたこともすごく大事。僕は、自分が感じていることはできるだけ伝えたいと思ってやっています。もちろん、最初はギャップがあったりもしますけど、話し合って、すり合わせて結局、最終的にどっちが良いかを考えていくことはこの先も必要だと思っています」
それは日本代表が進歩している証ではないかと水を向けると、渡辺は当時のチームにリスペクトを示しつつ、現チームの強みについてこう断言する。
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「今の日本代表は思っていることをみんなが伝え合います。スタッフから意見をもらえるし、僕たちもきちんと伝えます。その上で“なあなあ”な状態では終わらないんです。そもそも、いざ蓋を開けてみて『やはり、こっちのやり方のほうがよかった』は絶対に許されないと思うので」
慌てない。意見を飲み込まない。「なあなあ」で済ませない。うまくいかなくても冷静に、言葉を尽くして、最善を探す。12年前の苦い記憶と、今の日本代表の姿の間には、そのような深い変化が刻まれている。
選手もスタッフも、組織全体が前を向いている
渡辺はさらにこう続けた。
「大事なのはすり合わせだと思っているので。今は、たくさんの意見を出せる選手がいます。ただ、『あの選手が言っているから、それが全て正しいよね』ということではなく、その意見に対して他の考えがあればそれを伝えることができる。僕だって『それは違うな』とか、『こういう形の方がいいな』と思ったら伝えますし。そういうことができるのが、今の日本代表の強みでしょうね」
この変化は一朝一夕で生まれたものではない。
かつてキャプテンを務めた長谷部誠(現アシスタントコーチ)はその筆頭だし、長友佑都もそうだ。長友はホテルで選手たちと過ごすとき、説教臭くならないよう注意しながらも、過去の反省や教訓について、当時を知らない世代と共有している。さらに、守備担当コーチである齊藤コーチもまた変化した。かつては守備の戦術面の判断の多くを一手に担っていた齊藤コーチが、昨年6月のW杯予選終了後からは長谷部コーチとともにその仕事を担うようになった。長年の指導者キャリアで得たものと、ヨーロッパの最先端で戦い続けてきた長谷部の頭脳が融合しつつある。
選手もスタッフも、組織全体が前を向いている。だから、12年前と同じスコアで迎えたハーフタイムに、同じ過ちを繰り返さずに済んだのだ。
ブラジル戦では最初から全てを出していけたら
その積み上げを携えて、日本代表はブラジルと戦う。

