プロ野球PRESSBACK NUMBER

中日“賛否両論”の指名なぜ?「“二遊間”問題は深刻です」谷繁元信(元中日監督)はどう見た? 全12球団ドラフト指名をガチ評価《セ・リーグ編》

posted2023/11/03 11:04

 
中日“賛否両論”の指名なぜ?「“二遊間”問題は深刻です」谷繁元信(元中日監督)はどう見た? 全12球団ドラフト指名をガチ評価《セ・リーグ編》<Number Web> photograph by JIJI PRESS

外れ1位で草加勝(亜大)の交渉権を獲得した中日・立浪和義監督

text by

谷繁元信

谷繁元信Motonobu Tanishige

PROFILE

photograph by

JIJI PRESS

 “即戦力級”の逸材に各球団の指名が集中し、史上最多となる7度の抽選が行われたプロ野球のドラフト会議。通算3021試合出場のプロ野球記録を持つ元中日監督の谷繁元信氏が、セ・パ全12球団のドラフト戦略と上位指名選手の“プロでの可能性”を検証する。(全3回の1回目「セ・リーグ編」/#2「パ・リーグ編」#3「ドラフト総論」へ)

◆◆◆

【1】阪神「“100点”に納得」

 1位の下村海翔投手(青山学院大)の単独指名は、阪神の戦力が整っているからこそ可能だったと思います。ハイレベルな大学生投手の候補のなかで、抽選で外れるリスクを負わずに、Sランク、あるいはそれに類するレベルの選手をどう“一本釣り”するか。さまざまな情報を集めて、「指名が被らないのなら下村でいこう」という戦略になったのだと推測します。

 174cmと身長はあまり高くない下村投手ですが、今年大活躍した村上頌樹のようにいいカットボールがあり、ボールのキレや制球力で勝負するタイプ。最速159キロを誇る2位の椎葉剛投手(四国IL徳島)も、即戦力級のリリーフとして評価の高いピッチャーです。

 さらに3位で山田脩也選手(仙台育英高)、4位で百崎蒼生選手(東海大熊本星翔高)とポテンシャルを秘めた高校生の内野手を指名していて、非常にバランスがいい。これも今のチーム状況だからできる指名でしょう。「何年後かに彼らが台頭してくれればいい」という余裕を感じます。岡田彰布監督は「100点」と話していたようですが、確かにそう言えるだけのドラフトになりましたね。

【2】広島「大成功でしょう」

 広島はもう、1位の常廣羽也斗投手(青山学院大)を引き当てた時点で大成功でしょう。よほどのことがないかぎり、来年から間違いなくローテーションに入ってくると思います。まさに戦力アップに直結する1位指名ですね。

 2位の高太一投手(大阪商業大)、3位の滝田一希投手(星槎道都大)の2人も、かなり力のあるサウスポー。起用法まではわかりませんが、広島は左の中継ぎ投手がちょっと少ないので、そういったところで起用したいという意図もあるかもしれません。

 近年の広島は、「大学・社会人の即戦力投手を狙う」というドラフト戦略が多いように感じます。たとえば森下暢仁(19年1位)に栗林良史(20年1位)、島内颯太郎(18年2位)や大道温貴(20年3位)もそうですね。その戦略が当たっているので、チームとしてブレていない。今年の指名でも、投手層は確実に厚くなると思います。

【次ページ】 【3】横浜DeNA「驚きのドラ1」

1 2 3 NEXT
阪神タイガース
岡田彰布
下村海翔
青山学院大学
椎葉剛
山田脩也
仙台育英高校
広島東洋カープ
新井貴浩
常廣羽也斗
高太一
滝田一希
百崎蒼生
横浜DeNAベイスターズ
度会隆輝
松本凌人
石田裕太郎
武田陸玖
読売ジャイアンツ
西舘勇陽
中央大学
阿部慎之助
東京ヤクルトスワローズ
西舘昴汰
松本健吾
石原勇輝
明治大学
中日ドラゴンズ
草加勝
津田啓史
辻本倫太郎
根尾昂
谷繁元信

プロ野球の前後の記事

ページトップ