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スマホNGの寮生活も「俺は明徳義塾に行く」最愛のひとり息子が“15歳で越境入学”…母の本音「強がりとかではなくて」「入寮後、1本の電話」

posted2024/04/27 11:03

 
スマホNGの寮生活も「俺は明徳義塾に行く」最愛のひとり息子が“15歳で越境入学”…母の本音「強がりとかではなくて」「入寮後、1本の電話」<Number Web> photograph by 母・真奈美さん提供

小学校時代の竹下徠空。現在は明徳義塾の3年生

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井上幸太

井上幸太Kota Inoue

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母・真奈美さん提供

NumberWeb「アスリート親子論」インタビュー
集団生活、ハードな練習、スマホ使用が制限された環境……そんな生活を送れるからこそ、子を寮入りさせたいと願う親がいる。高校野球の強豪、高知・明徳義塾に島根から越境入学したひとり息子とその母、そして子どもたちを預かる馬淵史郎監督の証言から「寮生活の事情」を探った。〈全2回の1回目〉

 「高校野球の寮生活」と聞くと、どんなイメージを持つだろうか。

 甲子園を目指し、15歳で親元を離れる。過酷な練習に取り組み、時には理不尽な上下関係に耐える……。こうした印象から、愛する我が子を送り出すことに、抵抗を感じる家庭も少なくないと聞く。

 そんな中、ひとり息子に「県外の学校で寮生活を経験してほしかった」と語るのが、島根県大田市在住の竹下真奈美さんだ。真奈美さんの息子である徠空(らいあ)は、現在、高知の強豪である明徳義塾に在籍。この春、3年に進級した。

スマホ所有NGも…「明徳に行きたい」

 明徳義塾――春夏計42度の甲子園出場を誇る、高校野球界屈指の強豪である。

 全野球部員が寮生活を送り、須崎市の山間に校舎、寮、練習場を構える環境から、「山の中で3年間を過ごす」と評されることも少なくない(学校公式サイトでは「緑の山に抱かれた」と表現)。

「娯楽は高知新聞しかない」と言われた一昔前から部内規則は緩和されたものの、現在もスマホの所有はNG。それでも毎年のように40人以上の新入部員が入学し、3学年で100人を優に超える大所帯が長年続く。

 竹下家のある島根県大田市から、明徳義塾が校舎を構える高知県須崎市まで、距離にして約400キロ。竹下徠空は、一度も訪れたことのないその学校の名を、中学2年時に、進路希望調査の第一希望欄に記入した。母・真奈美さんが回想する。

【次ページ】 現地見学へ「本当に学校、あるんかな?」

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