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打撃成績キャリアハイからのコンバート…カープ・坂倉将吾と新井新監督が痛みを受け入れ、捕手専念の決断をした理由

posted2022/10/24 11:01

 
打撃成績キャリアハイからのコンバート…カープ・坂倉将吾と新井新監督が痛みを受け入れ、捕手専念の決断をした理由<Number Web> photograph by KYODO

10月15日に行われた新ユニホーム発表会見での坂倉(右)と新井監督。坂倉がこの場にいることはすなわち期待の表れでもある

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前原淳

前原淳Jun Maehara

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 10月に入っても、まだ強い日差しが注ぐマツダスタジアムでは、若手主体の秋季練習が続いている。新井貴浩新監督を迎え、4年連続Bクラスからの巻き返しを図る戦いはすでに始まっており、新井改革第一弾とも言える光景は、プロテクターを着けて汗を流す坂倉将吾の姿にある。

 今季、チームでただ1人、そして自身初めて全試合出場を果たした。昨季リーグ2位の打率を残した打棒は健在で、2年連続規定打席到達でリーグ9位の打率.288。広島打線の中軸を担い、安打数、本塁打数でキャリアハイを更新した。同学年のDeNA・牧秀悟、阪神・佐藤輝明とともに、初めてオールスターゲームにも出場した。

 今年は本職の捕手ではなく、三塁を主戦場とした。三塁が手薄なチーム事情もあり、高い打力を生かすためのコンバートだった。捕手での出場はわずか22試合にとどまり、一塁での出場と捕手での出場が同数だった昨年以上に、比重が内野手に置かれた。

内野手専念の決意

 捕手専念か、内野手転向か。迎えたオフ、坂倉はひとつの決断をしていた。

 当然、捕手へのこだわりは強い。それでもチームから「サード坂倉」を求められれば、登録を「内野手」として捕手人生に区切りをつける覚悟をしていた。

「いつまでもいくつかのポジションを守って、中途半端な感じでやっているのも……。捕手登録のままサードをやるとしたら、キャッチャーをやっている人に失礼だし、内野手の人にも申し訳ない気持ちがある。だから来年はキャッチャーかサード、どちらか一本にしようと思っていた」

 来季の起用法が不透明なまま迎えた秋季練習序盤、小窪哲也内野守備・走塁コーチに伝えた思いは新井新監督に伝わった。

 新ユニホーム発表会見に出席した10月15日、坂倉は新指揮官に呼ばれた。深い息を吐き、ノックして監督室の扉を開いた。

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