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大谷翔平だけじゃない…MLBピッチャー「ヒジ故障者が多すぎる」問題、原因はピッチクロックか、球速か?「だから大谷翔平は背中の筋肉を鍛えた」

posted2024/04/27 11:06

 
大谷翔平だけじゃない…MLBピッチャー「ヒジ故障者が多すぎる」問題、原因はピッチクロックか、球速か?「だから大谷翔平は背中の筋肉を鍛えた」<Number Web> photograph by KYODO

4月26日、ナショナルズ戦の試合前。レフトの守備練習を行い、笑顔を見せるドジャース大谷翔平(29歳)

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生島淳

生島淳Jun Ikushima

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KYODO

 野球少年にとって、速球を投げるのは憧れであり、夢である。

 私の世代だと(昭和42年生まれ。いわゆる「KK世代」)、小学校の同級生でいちばん速い球を投げられる投手を誰もが知っていたし、畏怖の対象でもあった。

ヒジ故障者の“長いリスト”

 そして半世紀ほどが経ち、投手たちは進化を遂げた。

 日本球界では、ドラフト前に「150」を出すのがひとつの目安となり、アメリカでは「95マイル=約153キロ」が基準値となっている。

 しかし、今季のメジャーリーグでは主戦投手が肘のケガによって戦線離脱するケースが多く、4月14日のドジャース対パドレスの中継を見ていたら、現在、離脱中の選手のリストが挙がっていた。

 ■MVP受賞者
 大谷翔平(ドジャース)

 ■サイ・ヤング賞受賞者
 コール(ヤンキース)
 アルカンタラ(マーリンズ)
 レイ(ジャイアンツ)
 ビーバー(ガーディアンズ)
 デグロム(レンジャーズ)

 ■オールスター選出経験者
 ビューラー(ドジャース)
 マクラナハン(レイズ)
 ジオリト(レッドソックス)
 バティスタ(オリオールズ)
 ヘンドリクス(レッドソックス)

 ■期待の星
 ストライダー(ブレーブス)
 ペレス(マーリンズ)
 メイ(ドジャース)
 ブラディッシュ(オリオールズ)
 バズ(レイズ)

 だいぶ、多い。

15年で「豪速球」はこんなに増えた

 先日、メジャーリーグの選手会が、肘の故障の増加はピッチクロック導入の影響と主張したが、メジャーリーグ機構側は真っ向から否定し、「投手の球速、スピンレートの上昇」が直接的な原因であると反論した。

 日本のメディアは「ピッチクロックが原因では?」という論調に飛びついたが、さすがアメリカは数値で証明してくる。14日の放送では故障者のリストに続いて、こんな数値が紹介されていた。

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