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山田哲人に履正社監督からメール……。
プチ鹿島3月のスポーツ新聞時評。 

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プチ鹿島

プチ鹿島Petit Kashima

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photograph byHideki Sugiyama

posted2017/04/03 16:30

山田哲人に履正社監督からメール……。プチ鹿島3月のスポーツ新聞時評。<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

ホームランではないことを塁間で伝えられた瞬間の山田。こういったハプニングもまた、WBC、ひいては野球の妙味である。

WBCって「お盆」みたいなものではないか、と。

 あのとき思ったのは、WBCってお盆ではないかということだ。

 都会に行った若者たちが元気な顔を見せ、田舎は一気にワイワイとなる。地元に残って頑張っている人間も負けずに張り切る。

 「盆と正月がいっぺんに来た」と言うが、あのとき「イチローと松坂がいっぺんに帰って来た」のである。

 限られた期間が終われば各々の現場に“帰京”するのはわかっている。しかし一瞬の夢のような期間は心地よかった。

 WBCにちょっと感傷的なムードが漂うのはそういうワケである。

WBC初戦で、いきなりのハプニングが!

 メジャーリーグ機構と選手会が運営会社をたちあげて開催しているWBCは「興行」と考えたほうがニュアンスがわかりやすい。

 時として、運営のずさんさから生まれるダイナミズム。サッカーW杯や五輪のような国際大会のグローバルさや公正さを求めるより、WBCは目前のドラマ性を楽しむしかない。

 事実、2006年の第1回大会は誤審や、同じ相手と何度も戦うシステムに「え?」と思わされたが、そのデタラメっぷりが逆に興行としては大爆発した。

 今回も日本の一次ラウンド初戦(キューバ戦・3月7日)で、さっそくハプニングが起きた。

 山田哲人がホームランを打ったと思ったら、観客の中学生がフェンス際で捕球してしまったのである。記録は二塁打に変更。

《ボールをキャッチした少年は、笑顔でボールを持つ写真をツイッターに投稿。ただその後、批判の声が相次いだこともあり、消去。少年が警備員に事情を聴かれている姿を、別の観客がツイッターに投稿しているものもあった。》(サンスポ・3月8日)

 SNSでリアルタイムで少年へのバッシングが続く中、彼は《上着を頭からかぶって涙目で観戦。》(スポニチ・同)していたという。

【次ページ】 ベーブ・ルースと少年の約束HRがあるなら日本も……。

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