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いつもマリノスと共にあった……。
中村俊輔、心の痛みと新たな旅立ち。 

text by

二宮寿朗

二宮寿朗Toshio Ninomiya

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photograph byJFA

posted2017/01/12 17:00

いつもマリノスと共にあった……。中村俊輔、心の痛みと新たな旅立ち。<Number Web> photograph by JFA

12月29日の天皇杯準決勝。マリノスの選手としては、ピッチ上での最後のシーンとなった。

マリノスの伝統とは何か? 中村の答えは……。

 以前、マリノスの伝統とは何かと中村に尋ねたことがある。

「J2に落ちないってことは、やっぱり何かあるんじゃないかな。それが先輩たちの築き上げたマリノスのブランドというか。常に上位にいて優勝争いしないといけないクラブだし、代表選手も常にいた。監督、選手が入れ替わっても、外から来る人もマリノスはこうでなくちゃいけないっていう見方があると思う。ファン、サポーターの人からも優勝しなきゃいけないっていう要求があるし、俺たちも優勝争いできなかった年は、ダメなシーズンだったなって思っているから」

 マリノスのブランド。

 欧州流を取りいれるのはいい。だが日産時代から受け継がれてきた流儀も大切にしなければならない。団結心があって、全員が勝利に向かっていくDNA。そのブランドを守っていくために悩み、考え、労力を費やしたように筆者には感じ取れた。

「これまでひざをつくことなんてなかった」

「ファン、サポーターの方々の前で報告したかったんですけど、タイミングが合わなかったので、それが申し訳ないのと心残り。2013年のときは自分と一緒に優勝したいという横断幕を出してもらって、そういうのは自分のサッカー人生で初めてだったし、純粋にうれしかった。(優勝が懸かった最終節)フロンターレのグラウンドで負けて、これまでひざをつくことなんてなかった。ワールドカップでも、CLでも……。あのとき本当に力が抜けちゃって、でもそれぐらいの気持ちになれた。ファン、サポーターのみなさんには感謝しかない」

 常に傍にあった横浜F・マリノスとの別れ。それは容易に想像できないほどの心の痛みが伴ったはずである。

 マリノスは欧州流を深め、中村は移籍を選んだ。

 純粋にサッカーと向き合い、自分を高めていく日々を取り戻すために下した決断。

「行くチームに骨をうずめるつもりで」

 中村俊輔は、新天地へと向かう。

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