勝利への渇望が溢れ出た。3年3520万ドルでドジャースへの移籍が決定した後の会見で黒田博樹投手は「ドジャースを選んだ経緯は、本当に優勝を狙える球団だというのが一番」とキッパリ。家族のための住環境、温暖な気候も理由に挙げたが、思いは一貫していた。
一昨年秋、「自分にとって何が一番大事かを考えた。今後の野球人生を考えたとき、『カープで優勝する』ということが最も高いモチベーションになる」とFA宣言せずに残留。だが、チームは10年連続Bクラスに喘いだ。FAの意思を示した昨年10月にも「球団には『優勝したい、そういう中で野球をしたい』と伝えた。今季はクライマックスシリーズに出るのが最低限の目標だったが、こういう結果になった。その悔しさが薄れていくのが怖い」と苦しい胸中を吐露。日本球界を代表するエースだが、実は高校、大学(1部)そしてプロを通じて優勝経験がない。決して長くはない野球人生において、古巣への愛着とアスリートとしての欲求との間で揺れ動いた末の決断は、必然の結果だったのかもしれない。
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