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日本男子テニスの至宝、ただいま赤丸急成長中。

2009/03/08

 牛若丸のようだった。もちろん、牛若丸を直に見たことはない(当然ですが)。しかし、八艘飛びの話を現実にしたようなテニスに、誰もが魅了された。全米ジュニアで16強入りしたジュニア男子の逸材、錦織圭(にしこり・けい)は、まだ15歳だ。日本最年少プロの森田あゆみと同年齢だが、男子は女子より層が厚く、18歳以下のジュニアでも15歳が活躍するのはまれなこと。プロツアーと同様に、ジュニアツアーにも年齢によって年間出場大会数の制限がある。つまり経験という点で、18歳とは大きな隔たりを余儀なくされるのだ。

 錦織は、森田が3位になった'03年オレンジボウル(ジュニアの世界選手権)14歳以下で準優勝し注目された。今年のウィンブルドン・ジュニアでは、予選を勝ち上がり初の4大大会ジュニア本戦入りを果たした。初戦は昨年のオレンジボウル18歳以下の覇者ニーリー。錦織は腹筋を痛めていたこともあり、フルセットで敗れた。続く全米ジュニアでは、そのニーリーと2回戦で対戦し雪辱を遂げると、3回戦で、今年のウィンブルドン・ジュニアの覇者シャルディーに挑んだ。錦織は駆け抜けるようなフットワークと魔法のようなラケット捌きで、一気に5―2とリードし、2本連続のセットポイントを握った。そこから経験不足を露呈し、勝ちを意識したことで逆転を許す。結局、ストレートで敗れたが、その敗戦にもかかわらず、彼の明るい将来を疑うものは誰もいなかった。全米の会場では、女子で準優勝したピエルスの練習相手も務めた。練習試合では7―5で勝ったという。

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photograph by Hiromasa Mano

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