イタリアの優勝で幕を閉じたサッカーW杯。ベッケンバウアー大会組織委員長が大会前に「もう一つのW杯」と言ったのは、ドイツ国内数万カ所にも及ぶパブリック・ビューイング(以下PV)だった。観戦は無料。あらゆる町の広場がPVとなり、千を越える教会にも試合を楽しむためTVやスクリーンが設置されたという。首都ベルリンから牧草と牛の香り漂う名もない村まで、4500kmばかり車で走ってあちこちのPVを見てきた。
クロアチアのベース地バート・ブリュッケナウは深い森の中にあった。午睡の時間帯、静まり返った会場のスクリーンには、アルゼンチンの6点目をぶち込んだメッシ。たった5人きりの観衆のガキどもが、ボールを追う足を止めて、口をあんぐりさせていた。
特製トートバッグ付き!
「雑誌プラン」にご加入いただくと、全員にNumber特製トートバッグをプレゼント。
※送付はお申し込み翌月の中旬を予定しています
photograph by Takashi Yuge