「これからすごく不安なんですよ」
ある競技団体の職員と話しているとき、こんな言葉がこぼれた。何が彼を不安にさせているのか。連日報道されてやむことのない金融危機である。
「うちは裕福じゃない中、用具メーカーなど多くの企業に支えてもらっていました。でもメーカーが経営でダメージを受けると私たちにもはねかえってくるんじゃないかと思うと不安ですね」
不安は彼だけの、彼が属する競技団体だけのものではない。注目度が増し、プロ化が進んだ面もあるとはいえ、五輪競技の多くは恵まれない環境にある。大きな支えとなっているのは企業である。自ら競技部を持つことで、あるいはスポンサーとして競技団体の運営資金を供出することで。存在は大きい。先日、森永製菓に入社の決まったフェンシングの太田雄貴が会見で涙を流した。それだけ資金に苦しんでいたのであり、企業の支援によって解放されることになったのだ。
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photograph by Takuya Sugiyama