#1144
巻頭特集
記事を
ブックマークする
「お腹に子どもがいても走って…」“三冠牝馬”ジェンティルドンナがぶち破った距離の壁と父ディープ似の気質「絶対に勝てると思っていました」
2026/05/21
GI7勝はディープインパクト産駒史上最多。その下地となったのは、父譲りのケタ外れに優れた心肺機能だ。一方、父に似ない一面もあったという。女傑の「オンとオフ」を知るふたりの調教助手が強さの源を回想する。(原題:[三冠牝馬の素顔]ジェンティルドンナ「距離の壁をぶち破ったヤンチャ娘」)
「ディープ産駒はマイルまでって言われているんだよ」
産駒デビューから2年ほど経った頃、血統マニアを自負する私の友人がこう言った。ディープインパクトは3000m以上の菊花賞も天皇賞・春も勝っているのに、なぜ産駒は半分の距離までなのか、と不思議に思ったものだった。とはいえ、実際に産駒のGI勝利は桜花賞マルセリーナに始まり、安田記念リアルインパクト、阪神ジュベナイルフィリーズのジョワドヴィーヴルと、見事なまでにマイルGIが続いていた。
このジンクスは2012年オークスでも争点の一つとなった。その渦中にいたのが牝馬三冠初戦・桜花賞を勝ったジェンティルドンナである。
「当時、『ディープ産駒は距離がもたない』って言われてね。桜花賞を勝ったけど、オークスは3番人気だったんだよね」
担当の日迫真吾調教助手は当時の風潮を鮮明に覚えていた。3番人気はまったく実力に見合っていないと思うほど自信を持っていたからだ。
ジェンティルドンナのポテンシャルの高さは日々の調教から感じ取っていた。たとえば、道具一つをとってもそう。競走馬は鞍を固定するのに腹帯というベルトのような道具を使用する。体格によって使用サイズが異なるのだが、470kg前後のジェンティルドンナが使用した腹帯は、500kg超えの牡馬で使用するサイズだった。体格以上の胸囲。競馬界では胸囲の大きい馬は内包される心臓や肺の機能が高いと言われ、日迫も「昔からの経験で」同様に感じていた。その心臓の強さは父ディープインパクトにも通じるものがあった。
特製トートバッグ付き!
「雑誌+年額プラン」にご加入いただくと、全員にNumber特製トートバッグをプレゼント。
※送付はお申し込み翌月の中旬を予定しています
photograph by Yuji Takahashi
この連載の記事を読む
記事


