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「日本語でも自分の意見を主張するように」石川佳純の性格が変わった中国語“超実践”習得法「よく聞き、よく話す」《上達の秘訣はお風呂で反復練習、カラオケで歌を…》

2025/12/04
中国メディアからの質問にも難なく現地語で答える力は中学時代から育まれたものだった。教室に通うことなく実地で鍛えたその勉強法とは。(原題:KEY POINT 単語[卓球王国の豊潤な言葉]石川佳純「中国語で私は変わった」)

 カメラの前に立った石川佳純は撮影のために準備した中国語で書かれた小説を開くと、スラスラと音読してみせた。

「私が早口になったのは中国語を話すようになってからかもしれません」

 2012年ロンドン五輪では女子団体で日本卓球界初のメダル(銀)を獲得し、続く'16年リオデジャネイロ、そして'21年東京でも大黒柱としてチームを支え、3大会連続メダルを達成した彼女。その中国語の実力は、卓球王国・中国のファンからも一目置かれるほどだ。

 だが石川はこれまで語学教室に通うなど特別に中国語を学んだ経験はない。

 最初に中国語を耳にしたのは12歳、大阪・四天王寺羽曳丘中学時代だ。卓球の強豪校として知られる同校には、当時、4~5人の中国人コーチが在籍しており、日々彼らから技術を教え込まれた。選手たちへの指示は基本的に日本語で行われていたものの、コーチ同士の会話は中国語。そのため練習場はいつも中国語が飛び交う環境だった。選手たちはコーチたちから中国語を教わることも多かった。

「中国は『卓球が世界一強い国』という憧れの存在でした。小学生の頃から、当時大好きだったアテネ、北京五輪の卓球女子シングルス金メダリスト張怡寧や王楠ら中国選手のインタビューを通訳なしで聞きたい、何を話しているのか知りたいという思いから中国語への興味もあって。中国人コーチが話している中国語を理解したいと思うようになったんです」 

 言葉が分かればコーチの教えをより深く理解し、吸収することができる。とくに世界最強の中国には日本語にはない、卓球の専門用語がある。中国語を理解すれば、より精密に卓球の議論を行うことができる……つまり、卓球のレベル向上につながる。石川は卓球を上達させたい一心で、日々の練習のなかでコーチたちから少しずつ単語を教えてもらい、それを使って会話して……を繰り返していた。そのうちコーチとも少しずつ中国語で会話ができるようになっていった。

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photograph by Wataru Sato

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