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「野球が本来あるべき姿に戻る兆し」ドジャース山本由伸の偉業が“野球界と野球史”に残したもの《カーショウ発言から読み解くワールドシリーズ》
カナダ・トロント。11月2日午前0時17分にドジャースの世界一が決まった。マウンドの山本由伸が天を仰ぎ、両手を高く突き上げると、ナインは一斉にヒーローの元へ駆け寄った。前夜の6回96球1失点から連投で、2回2/3、34球、無失点。無の境地で投げた山本は喜びを噛みしめた。
「最後、何を投げたかも思い出せないような、そんな興奮がありました。チームメートが自分のところに来てくれたときは、今までで一番の喜びを感じました。涙も出ましたね。久しぶりに溢れてきました」
第2戦の完投勝利に始まり、第6、7戦で連続勝利投手となって、同一ワールドシリーズでの3勝は、2001年のランディ・ジョンソン(当時ダイヤモンドバックス)以来24年ぶり。しかもすべてが敵地での勝利。チームを度重なる崖っぷちから救い、'09年の松井秀喜(当時ヤンキース)以来、日本人2人目のシリーズMVPに選ばれた。
この27歳の働きに、今季限りで引退する通算223勝のクレイトン・カーショウは惜しみない賛辞を贈った。
「ヤマが成し遂げたことはもう二度と見られないだろう。史上最も勇敢で、覚悟のいる登板だった。彼のチームメートであることを本当に誇りに思う。人はよく『ドジャースは大金を使っている』というが、人格や覚悟はお金では買えない」
開幕前、今回のシリーズは「ドジャース先発投手対ブルージェイズ打線」と表現された。ドジャースはワイルドカードから9勝1敗で勝ち上がり、その快進撃を支えたのがブレイク・スネル、山本、タイラー・グラスノー、大谷翔平の先発投手陣だ。4人は10試合で7勝1敗、防御率1.40、イニング総数は64回1/3と1試合平均で6回を上回った。ポストシーズンでは、どのチームも先発投手を早めに降ろす――そんな昨今の常識を覆す内容だった。
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