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「球種のアレンジは止めない」スキーンズらMLBの“100マイル投手”はデータを大切にする…大谷翔平も重要性を認めた「シーム・シフテッド・ウェイク」とは?

2025/08/07
大谷翔平 SHOHEI OHTANI Los Angeles Dodgers 17
彼らは力任せに速い球を投げているわけではない。ボールが動く原理を学び、独自の軌道を描こうと日々、データを取得して研究を繰り返している。メジャーを代表する4人の速球派に実態を聞いた。(原題:[パワーピッチャー最前線]100マイルの向こう側)

 4月半ばのこと。まだ肌寒い日が続いた東海岸遠征から戻り、ロサンゼルスの暖かい日差しの中でブルペンに入った大谷翔平は、クラブハウスに戻るや否やTシャツ姿となって刀掛けがあるロッカーを背にして椅子に座ると、リラックスした表情でスマホを手にした。

――きょうは、95ぐらいですか?

 ブルペンでの最速を聞くと、「100っす」と大谷。

――じゃあ、復帰のときには105ですかねぇ?

 そう返すと、今度は苦笑しながらつぶやいた。

「105になったら、復帰しようかな」

 たわいもないやり取りだったが、実際に投手復帰したいまとなっては、その言葉にリアリティが伴う。6月16日の復帰初戦でいきなり100.2マイルをマーク。同28日のロイヤルズ戦では101.7マイルというメジャーでの自己最速を記録した。

 もっとも、目指しているのはスピードだけではない。大谷、ポール・スキーンズ(パイレーツ)、タリク・スクバル(タイガース)、スペンサー・ストライダー(ブレーブス)らいまのメジャーを代表するパワーピッチャーは、一様に100マイルを超える球で相手を抑え込む力を持ちながら、球速には頼らず、むしろ真っ直ぐの質を意識し、変化球にも日々、微調整を加えている。

 スクバルは5月25日に完封勝ちした際、その日の94球目となった最後の球がキャリアハイの102.6マイルを記録し、「全球、100マイルを投げて相手を力でねじ伏せられるなら、気持ちいいと思う」と話したものの、こう続けた。

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photograph by Yukihito Taguchi

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