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「娘の名前も決めてもらいました」大の里の原点・糸魚川を訪ねて…恩師、同級生が証言する苦労と“茶目っ気”「もしもし、かにや旅館さん?」
北陸新幹線はくたかに乗って東京から約2時間。新潟県糸魚川市は日本有数の翡翠の産地だ。糸魚川駅を出ると間もなく、視界に日本海が広がってくる。
真夏のように暑い6月のある日、その海の青は、まるで翡翠の色が溶け出したかのように少し緑味を帯びて透き通っていた。日本海と聞いて思い浮かぶ荒々しさからはかけ離れた、穏やかに輝く海だった。
駅から車で20分も行けば、ベニズワイガニ漁で知られる能生にたどり着く。こちらを向けば山。あちらを向けば海。コンビニが2軒あるだけで、およそ若者が好みそうな娯楽施設というものが見当たらない。この漁師町で、大の里こと中村泰輝は中学、高校の6年間を過ごした。
「県内外から小中学生が集まるうちの練習会に中村少年が石川県から参加してくれたんです。それが最初の出会いでしたね」
そう語るのは、この町の出身で海洋高校相撲部総監督を務める田海哲也だ。
2012年の高校相撲金沢大会、田海は練習会に参加していた小学6年生が、最前列に陣取っているのを見つけた。パンフレットを手に熱心に勝敗をつけている。わんぱく相撲をやっていても、そこまでの子はなかなかいない。それが大の里だった。

「本当に相撲が好きなんだな。こんな子がいるんだなと思いましたね」
日本体育大相撲部出身の田海が相撲指導に関わり始めたのは'04年。海沿いに建つ『かにや旅館』の経営などをしていたところに、5年後に迫った新潟国体に向けた県勢強化の依頼を受けた。家族の理解が得られると、物置きと化していた高校の稽古場を片づけ、能生中――海洋高と公立校ながら一貫指導できる体制を整えた。
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