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羽生結弦、ハビエル、宇野昌磨…平昌五輪・男子フリー最終組、“黄金の頂”に挑んだ6人「羽生選手は泣いているし、五輪は特別なんだな」《内幕ドキュメント/2018年》

その山の頂は、いつも厚い雲に覆われている。姿を見せるのは4年に1度、登頂できる勇者はたった1人だ。2月17日、フィギュアスケート男子フリーの最終グループの開始とともにその厚い雲が消え去り、6人の勇者の目には黄金の頂が見えていた。
心中はそれぞれ違った。山頂への確実なルートを冷静に見極めていたのは、羽生結弦。羽生と同じルートを、万感の思いで歩んだハビエル・フェルナンデス(スペイン)。無欲無心で、ただ羽生の背中を追っていた宇野昌磨。一発逆転、駆け足で登ろうとする金博洋(中国)。足がすくんだドミトリー・アリエフ(OAR=ロシアからの五輪選手)と、黄金の輝きをまぶしそうに見つめていたパトリック・チャン(カナダ)。共通するのは、誰もが持てるすべての力をこの4分半に出そうと、ひたすら強く自らを鼓舞していたことだ。

羽生はすぐに4回転トウループを跳んだ
フリー最終グループの6分間練習が始まった。もはや逃げも隠れも出来ない。今さら自分がうまくなる訳でもない。それでも若者達は必死に何かを見出そうと、これまでの人生でもっとも濃い練習をする。
羽生はすぐに4回転トウループを跳んだ。美しい。続く4回転サルコウでステップアウト。韓国入りしてからの成功率は約5割で、復帰後、まだ完全には感覚を取り戻せてはいない様子だ。ブライアン・オーサーコーチにアドバイスを受け、再度トライするが着氷でミス。6分間練習の間にジャンプを一度は決めておきたいタイプの羽生は、少し助走のスピードを上げた。残り30秒で4回転サルコウを着氷。ホッとしたのか、残り時間は氷との一体感を確かめていた。
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