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「智将の二枚看板が雪辱を誓う」サトノシャイニング、ジョバンニの皐月賞「あれだけの不利」と“馬本位”の調教《杉山厩舎はリーディング独走》【番記者の推し】

2025/05/30
左からジョバンニ、サトノシャイニング
調教師全国リーディングをひた走る杉山晴紀厩舎からは、精鋭2頭が参戦する。不利を受けながらも上位に迫った皐月賞は実力の証。師は静かに自信を漲らせている。(原題:[番記者の推し(2)]西の勇躍「智将の二枚看板が雪辱を誓う」サトノシャイニング/ジョバンニ)

 第85回皐月賞は“荒れた”競馬だった。

 配当ではない。レースそのものだ。

 人馬が引き揚げてきた直後の検量室。パトロール映像を繰り返し流すモニターの前には険しい顔が並んだ。裁決室のドアが閉じては開き、次々と騎手が呼び込まれた。

 確定したレース結果には3件の制裁が併記された。第1コーナー手前で1件、向正面で2件。出走18頭のうち被害馬は計8頭を数えた。降着には至らなかったが、あの着順を能力の反映と決めつけてしまうのはやはり早計だろう。運の介在は否めない。

 今年のリーディングを独走する杉山晴紀厩舎が送り出した2頭は、どちらもアンラッキーだった。それぞれが不利を受けた上での4着と5着。競馬界の禁句だとしても「たられば」を口にしたくなるはずだ。

 公開されている動画を見返せば、4着のジョバンニこそ最も不運だったのではないか。第2コーナーで6番手だった通過順が、第3コーナーでは11番手に。バックストレッチでの被害により、誰よりもポジションを落とした。杉山調教師は唇を噛んだ。

「スタートも良くて、向正面に入るまでは理想の形でしたけどね。内からニシノエージェントに寄られて、外からミュージアムマイルにも弾かれて下がってしまいました。最後の脚を見ると『あれがなければ』と思ってしまっても仕方ないですよね」

 眉をひそめた松山弘平騎手は「前からはクロワデュノールが下がってきて……」と付け加えた。密集した馬群で左右と前方を塞がれては、後退するしかなかった。

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photograph by SANKEI SHIMBUN / Photostud

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