#991
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羽生結弦、町田樹、宇野昌磨らの衣装をデザイン…伊藤聡美が語る“美学”とは?「世界観が表れる衣装に」<アーカイブ記事/2019年>

海外でも高く評価される伊藤の衣装デザイン。そこには、動きやすさへの飽くなき探求心と、考え抜かれた世界観が詰まっていた――。(初出:Number991号 デザイナー伊藤聡美が語る男子衣装の美学。)

 現在の男子フィギュア界では多種類、複数本の4回転ジャンプが一つのプログラムで当たり前のように行われるようになった。その影響は選手のトレーニング方法などの変化にとどまらないのではないか。

 衣装デザイナー伊藤聡美の言葉はそのことを裏付ける。伊藤は男女のトップスケーターたちをはじめ、数多くの選手の衣装デザイン・製作を担う第一人者だ。今シーズン手がける衣装は40着以上。依頼を受けた中には羽生結弦、ボーヤン・ジン、ヴィンセント・ジョウなどがいる。

「特に男子だと4回転ジャンプをたくさんする時代になっていることもあって、『できるだけ軽くしてほしい』という要望は年々、強くなっていますね。皆さん、『前の衣装よりも軽いです』と重さの違いにもすぐに気づくくらいです」

 2015年以降、毎年請け負ってきた羽生の衣装でも軽さの追求を続けている。

「'15年製作時は、約850gだった衣装の重さを、今シーズンはSP、フリーとも610gくらいでおさめています。今まで作った衣装の中で一番軽いですね。素材は常に繊維街などでチェックし、軽くて伸縮性のあるものを探しています。もうこれ以上薄い布は、ないんじゃないでしょうか」

曲にも選手にも合うようにデザイン

 軽さと同時にデザインも充実させなければならない。

「皆さん、必ずプログラムに使用する音楽は送ってくださいます。それをずっとリピートで聴き、選手を思い浮かべて、自分なりに曲にも選手にも合うようにデザインを考えています」

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photograph by Asami Enomoto/Ichisei Hiramatsu

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