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「下半身の強さには自信があった」岡田彰布が語る「オレの最高の一発」と“データ偏重”への警鐘「理想とする打撃フォームは…」《名将の打撃論》

2025/04/25
プロ通算247本塁打を記録している岡田
タイガースに囲まれて育った幼少期、打者で生きていくことを決める。大学時代に残した東京六大学リーグ通算打率.379、81打点は今も破られない記録だが、その4年間も阪神の打者を参考にしていた。現役時代は5番打者として日本一に貢献し、監督としても頂点に立った。入団から45年が経った今、虎を知り尽くした男が明かす打撃の極意とは。(原題:[独白打撃論]岡田彰布「アレがオレの最高の一発よ」)

 16年間の現役を終えた直後、岡田彰布に聞いたことがあった。

――これまでのプロ野球人生で最高のバッティングは?

 すると岡田はしばらく時間をかけ、ニヤリと笑った。

「いろいろあったけど、やっぱりアレやろな」

 阪神タイガースの伝説の日。ちょうど40年前の1985年4月17日に奇跡のような場面が生まれた。あの「3連発」は日本一の象徴として、阪神ファンは今でも忘れずにいる。

 その日の巨人戦は7回表を終えて1-3と、阪神は2点を追って「ラッキー7」に入った。走者一、二塁のチャンスを迎え、打席に3番ランディ・バース。マウンドの槙原寛己が投じた速球を捉え、打球はセンターのバックスクリーンに飛び込む逆転3ランになった。続いたのが4番掛布雅之で、彼も槙原のストレートをバックスクリーンの左に打ち込んだ。

 興奮の甲子園……だが、物語はそれで終わりではなかった。

 その時、ネクストバッターズサークルにいた岡田は考えていた。

「バースの打ったボールはあとで聞いたらシュートやった。カケさんはストレート。オレには必ず変化球が来るとわかったわ。スライダーを狙うってことよ」

Bungeishunju
Bungeishunju

 岡田はもともと読みで打つタイプではなく、打席の中の感覚で勝負してきた。ただ、あの打席だけは確信があった。2球目、そのスライダーが甘く入ってきたのだ。

 読みと感覚がハマった打球は、バックスクリーンへ一直線に伸びていった。中堅を守っていたウォーレン・クロマティが背中を向け、まったく動けなかったほどのホームランだった。

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photograph by Bungeishunju

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