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【独占インタビュー】「それが僕の仕事ですから」川田将雅が繰り返す“当たり前”…自分の騎乗を「つまらないでしょう(笑)」と語るワケは?

2024/10/24
JRA最高勝率騎手を7度受賞する川田将雅
華麗な勝利レースの数々は傍から見れば“神騎乗”というべきものばかり。だが、当の本人はあっさりと否定する。リーディングジョッキーとなってもベストレースは「思いつかない」というが、理路整然と話す言葉の端々には、あまりにも緻密で正確無比な勝利への極意が表れていた。(原題:[トップ騎手インタビュー]川田将雅は当たり前を繰り返す)

「テーマが『神騎乗』と聞いて、取材をお断りしようかと思っていました」と、川田将雅は微笑む。冗談めかした口調ではあるが、本当に、自分はこの企画に適していないと思っているようだ。

「世間のみなさんの印象に残っている僕の『神騎乗』というのはひとつもないと思います。みなさんが『神騎乗』と仰るのは、見るからに派手なレースだと思うのですが、僕の場合、派手なレースはほぼない。僕が勝ったレースで派手だったのは、馬の能力が圧倒的だったときだけですから」

 派手なレースが少ないのはなぜなのか。

「僕は緻密だからだと思います。レースのなかで用意周到にいろいろなことをやって、一般の方にはわかりやすくない組み立てをしてますので」

 そう話す彼に以前、自身のベストレースはどれかと問うと、「思いつかないです」と即答した。一生懸命走っている馬を勝たせるのが自分の仕事で、自分が勝たせたとは考えないからだという。勝ったのは自分ではなく馬なのだ、と。だから彼はガッツポーズをしない。自分に“神騎乗”はないと本心から思っているのだ。

「いわゆる『神騎乗』に当てはまるレースは、GIよりむしろ普段の条件戦に多くあります。ジョッキー目線で、『あの人上手く乗ったなあ』とか『よくここからこの競馬を組み立てたな』と思うことも。でも、僕のレースにはないですね。当たり前のことをしているだけですから」

勝つことが彼女の仕事で、そこに導くのが僕の仕事です。

 本人はそう言うが、第三者から見た「川田将雅の神騎乗」はいくらでもある。

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photograph by Wataru Sato

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