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日本バレーを進化させた“石川祐希エフェクト”とは?「強い星の下に生まれている」「戦術オプションが確実に増えた」《代表抜擢者らの証言で辿る10年》
変わる。必ず変わる。あの若者ならば、閉塞感に包まれた暗い歴史を書き換えてくれるに違いない。
かつてない希望、未来に向けた大いなる期待感こそ、石川祐希が日本の男子バレーボール界にもたらした最大のもの――。そう言って差し支えあるまい。
「期待どおり。いや、その活躍は期待以上と言っていいかもしれない。ネーションズリーグとはいえ、日本を世界大会の表彰台に立たせたわけですから。それも銀。これはすごいことです」
日本バレーボール協会の男子強化委員会委員長を務める南部正司が声を弾ませる。指揮官として日本代表を率いた時代、まだ大学1年生だった石川を日本代表に抜擢した張本人。2020年の東京五輪に向けた強化指定選手《Team CORE》の一角に石川を選んだ。あれは'14年6月だから、ちょうど10年前のことになる。
「東京五輪でメダルを狙うならば、それにふさわしい選手をそろえる必要がある。そうした逆算から石川たちの抜擢に至りました。日本には石川がいる、というくらいの存在になれなければ、絶対にメダルなんか獲れない。彼は一歩ずつ着実に成功の階段を上がってくれている」
大きな壁から逃げも隠れもせず、敢然と乗り越えていく向上心。
若き日の石川は抜群の球技センスを備えていたという。アクションの一つひとつが自然体で、ムダがない。何より、体の使い方も実にしなやか。まるで“人球一体”といった趣。彼が天賦の才に恵まれているのは、誰の目にも明らかだった。
「身長は世界的には高くないですが、優れた運動能力を備え、オールラウンダーになり得る素質を持っていました。スパイクから何から、すべてのものを持ち合わせていましたからね。おそらく他の球技をやっても大成したんじゃないかと思います」
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