パリ五輪の激闘を経て、日本代表のキャプテンはいま、どのような思いで新たな戦いの日々を送っているのか。惜敗したイタリア戦の回想、日本バレーに必要なこと、次の五輪までの自身の目標――新天地で率直に語った。(原題:[独占インタビュー]石川祐希「もう一度、五輪メダルを獲りにいく」)
中世の街並みに現代的な施設が溶け込むイタリア中部の穏やかな街、ペルージャ。丘の上にたたずむ街の澄んだ空気は、9月に入っても猛暑日が続いていた日本から訪れた身には冷たく感じられたが、石川祐希は半袖姿の爽やかな出で立ちで現れた。
イタリア・セリエAでの10シーズン目を迎えた石川は、念願だったトップクラブへの移籍を実現した。ペルージャは昨季セリエA、世界クラブ選手権、イタリアスーパー杯、イタリア杯の4冠を制覇した世界屈指の強豪。9月29日のセリエA開幕に向け、石川はポジション争いの真っ只中にいた。日本の絶対的エースで、世界を代表するアウトサイドヒッターの1人となった石川も、ここではまだ何も約束されていない。
ずっと残っている「あと1点が取れていたら」。
パリ五輪準々決勝でイタリアからマッチポイントを握りながら、激戦の末に敗れたのは8月5日。一旦帰国したが、石川はわずか10日後にイタリアへ発った。新チームですでに2度のカップ戦に出場しており、完全にクラブモードに突入していた。
パリ五輪のことなどもう振り返りたくないのでは――。そんな心配もしたが、「振り返りたくないとかは全然ないです」と柔らかい表情でインタビューに答えてくれた。
――パリ五輪から1カ月と少し経ちました。今振り返ってどんな思いが強いですか?
「まあ終わった時とあまり変わらないというか。もちろん悔しい。あと1点だったので……。そのあと1点が、取れていたら、というのはずっと残っています。しかも対戦相手がいるし、チームメイトに(笑)」
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photograph by Asami Enomoto