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【金メダル】「1投目にいつもの6投目ぐらい…」やり投げ新女王・北口榛花の驚異の集中力「夢では70mを投げていた」《記者会見“で飛び出した“迷言”とは?》
トレードマークのビッグスマイルはなかった。けれども、あふれ出る涙には笑顔にも勝るきらめきがあった。7万7000人を収容するパリ五輪メイン会場、スタッド・ド・フランス。満員のスタンドが陸上女子やり投げの新女王を祝福する。北口榛花がトラック&フィールド種目で日本女子初の金メダルを獲得する歴史的快挙を成し遂げた。
「すごく、メダルが重く感じます。うれしいじゃ足りないくらい、言葉にできないくらいの気持ちです」
ヒロインは何度も目をぬぐった。
“逆転の北口”から進化、1投目の集中力を身につけて。
8月7日午前の予選では1投目に62m58を出して予選通過ラインの62mをクリアして笑みを見せたが、表情に浮かんでいたのは明るさだけではなかった。1投目に65m台、64m台を出す選手もおり、北口は5位で決勝に進出。「歴代のメダリストたちが合わせてきたなという感じを出している」と警戒心をのぞかせていた。
ただ、パリ五輪の北口は新しい力を身につけていた。1投目の集中力だ。これまでの北口は最終6投目でビッグスローを見せることが多く、“逆転の北口”と呼ばれてきた。女子のフィールド種目としては五輪と世界選手権を通じて日本初の表彰台となる銅メダルに輝いた2022年オレゴン世界選手権も、同じく初の金メダルに輝いた'23年ブダペスト世界選手権も、最終6投目の投てきでメダルを決めていた。昨年の2度の日本記録も6投目だった。
予選から3日後の10日、19時半。女子やり投げ決勝はまだ明るい競技場で始まった。12人の決勝進出者の紹介時、北口は入場ゲートで微笑むと、軽やかな走りで投てきのエリアへ。引き締まった表情も確認できた。
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