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【インタビュー】浅野拓磨が語る「W杯ドイツ戦ゴール」を生んだ“セルビアでの2年間”「味方を罵倒もテクニック」「誰よりも目立ちたい」

2024/07/12
スペイン・マジョルカへの移籍が発表された浅野
日本がドイツに勝つ。しかも、W杯の舞台で――。2年前、夢のようなシナリオを実現させたのは、欧州で苦労を重ね、牙を研ぎ続けたストライカー。殊勲の瞬間と、そこに至る日々をジャガーが回想する。(原題:[W杯ドイツ戦決勝弾の真相]浅野拓磨「優しさは、辺境に捨てた」)

 リスタートからディフェンスの背後へ走り出した浅野拓磨に、獲物を見つけたジャガーの俊敏さはなかった。その浅野を狙い、自陣からフリーキックが蹴り込まれる。

 2022年ワールドカップ・カタール大会、初戦のドイツ戦。1-1で迎えた83分、世界中を驚愕させた決勝点は、なんということもない一本のロングフィードから生まれた。

「板倉滉がボールをセットしたときから、裏を狙っていました。目が合った瞬間、スペースに飛び出そうとしていたんですが」

 だが、思い通りにはならなかった。

「早く目を合わせてほしいのに、板倉がなかなか気づいてくれない。そこで少し早く動き出しました。トップスピードで縦に出ると確実にオフサイドになるので、スピードを抑えて斜めに動く形で」

ドイツ戦の得点場面。シュロッターベックと競り合い Shinji Akagi
ドイツ戦の得点場面。シュロッターベックと競り合い Shinji Akagi

 キッカーとの呼吸が合わず、ジャガーの出足は封じられた。だが、ここからストーリーは意外な展開を見せる。

 前方に大きく蹴り出した板倉のパスが、浅野の足もとにぴたりと届く。そのトラップの直前、彼はかすかな違和感を抱いた。

「ふんわりしたパスなので、ドイツの守備陣には厳しく寄せる時間がある。ですからぼくは、ボールをキープしようと考えました。外にトラップするか、足もとに収めて味方につなごうと。でも敵が寄せてくる気配がない。ということは……」

最後まで「ふんわりした気分」だった決定打。

 かすかな違和感からの読み、それは的を射ていた。ドイツの選手は、多くがオフサイドと決めてかかっていたのだ。

 直前まで浅野の背後にいたアントニオ・リュディガーは、オフサイドをアピールしながらジョグしていた。彼は知らない。ボールの逆サイドにいた味方が、浅野の動きに合わせてラインを下げてしまったことを。

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photograph by AFLO

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