興奮した。同時に、日本がこういう戦い方をできるようになったことが嬉しい。
僕は目指してきたカタール大会のメンバーには選ばれなかった。けれど、「ワールドカップという大会のために、今までとは違う思考でこのメンバーを選んだんだな」と森保監督の下した判断には納得感があった。
メンバーのほとんどがヨーロッパでプレーしていて、しかもそれぞれが世界で戦える基準に達している。先発の11人以外にもクオリティの高い選手が控えにいて、切り札まで揃っている。僕の目から見ても、今までの日本代表より期待値は大きかった。
今のドイツはネーションズリーグでも苦戦し、繋ごうという意識が悪く働いている側面があり、かつてないほどパスミスが増えていた。だから、ドイツが相手でも日本のやり方によっては勝つ可能性はあると思っていた。ただし、勝つサッカーを選び、それを実行できたらという前提だ。これがどれだけ難しいことかは、ワールドカップに出た人間にしかわからないだろう。
僕は2014年のブラジル大会の初戦、コートジボワール戦に先発出場した。本田圭佑のゴールで前半のうちに先制したものの、追加点を求める選手と、守備的に戦いたいという選手とで考え方が分かれ、ひとつになりきれなかった。
当時は“自分たちのサッカー”を志向する一方で、複数のオプションを持っていないがために、強みを封じ込められると次の手がないという閉塞感も漂っていた。
イメージ通りのプレーができないと、「あれ?」という疑問が不安に変わる。個々人が自分やチームのミスにいら立つような空気すら生まれたと記憶している。
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