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[強国粉砕の決勝ゴール]浅野拓磨「汗だくの練習着が生んだ一撃」

2022/12/06
メンバー落ちした前回大会の悔しさを胸に刻み、W杯で活躍する自分を思い描いて突き進んできた。名手ノイアーのニアサイドを打ち破った決勝弾は、“持ってる男”の後悔のない日々の結実である。

 4年分の思いを、一撃に込めた。

 ドイツとのグループステージ初戦、システム変更で試合の流れを劇的に変えた日本は、75分に堂安律が同点弾を決めたあとも攻勢を強め、1対1の状況で83分を迎えていた。

 自陣右サイドでFKを得て、板倉滉がボールをセットする。最前線で待ち構える浅野拓磨は、「来るな」と感じた。

 浅野と板倉は、ともに9月に膝の内側側副じん帯を痛めている。ふたりは日本サッカー協会がドイツに構える施設へ通い、リハビリに汗を流した。

「滉とは毎日顔を合わせていて、やれるよって励まし合いながらここまでやってこられた。ケガをしてから意思疎通ができているので、あ、来るなと思ったんです」

 果たして、板倉は浅野を見ていた。

「リハビリを一緒にしているからか分からないけれど、良く目が合うんです。拓磨くんの動き出しが見えたので迷うことはなく、いいボールを届けたいなと思いました」

 オフサイドラインを際どくかいくぐった浅野は、ファーストタッチと同時に縦方向へ加速する。後方からニコ・シュロッターベックが身体をぶつけてくるが、外へ押し出されることなく突き進む。ゴールエリア内まで侵入すると、右足でニアサイド上を打ち抜いた。

「正直ニア上を狙ったわけではないですけど、思い切って蹴った結果があそこにいって。ここで僕が狙ったと言ったら狙いどおりのゴールになりますけど、思い切ってやったからこそああいうコースにいったので。みんなの気持ちが強いぶん、そういうものがボールに乗っかるのかなと改めて思いました」

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photograph by Atsushi Tokumaru

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