
渡米3年目を迎えた藤浪晋太郎の背中には、確かな覚悟がにじみ出ていた。マリナーズとマイナー契約を結んだ今季、招待選手としてキャンプに参加した。だが、3月22日、前日まで5試合連続無失点と調子を上げてきたにもかかわらず、マイナー行きを通告された。
その一方で、藤浪は自らの立ち位置を、正確に把握していた。当初からマリナーズのメジャー40人枠は埋まっており、たとえオープン戦で好投を続けても、契約上、昇格の可能性は限られていた。それでも、キャンプ終盤まで登板機会を与えられ、首脳陣と緊密なコミュニケーションを取り続けてきた意味合いは少なくなかった。
「もちろん、結果を出さなきゃいけないという焦りは自分の中ではあります。その中で、それを気にするよりもちょっとずつでも良くなることを選んでくれ、という話をしてもらっています」
最速100マイル(約161km)を超える速球を持つ藤浪の潜在能力は、メジャー球界でも高校時代から注目されてきた。ア・リーグ強豪球団のスカウトは、「高校時代は大谷以上の逸材」と言い続けてきた。だが、プロ入り後は制球難に苦悩し、安定感を欠いたこともあり、米国内でも評価は分かれた。
新天地マリナーズでメンタルの重要性を説かれて…
過去に所属した球団では、フォームなど細かい技術的な指摘を受けてきた。だが、新天地マリナーズでは、形ではなく、メンタルの重要性を説かれるようになり、意識も変わり始めた。四球を与えたり、安打を許したりしても、次打者への集中力を高め、ストライクゾーンで勝負する。自ら「完璧主義者」と言う藤浪が、原点とも言えるシンプル思考に光明を見出し始めた。
「コーチからも言われていますけど、時間をかけてちょっとずつ進歩していこうと。僕もそう思っています」
まだ30歳。傑出した才能を持つうえに、今後の野球人生は長い。
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