メジャーでも傑出した打力は、日本でいかに育まれたのか。当時の首脳陣の一人、阿井英二郎氏が語った育成方法は「教えるのではなく、見守る」という独特のメソッドだった。(原題:[元ヘッドコーチが明かす]ファイターズが“教えなかった”こと)
大谷翔平と初めて深く話をしたのは、共にファイターズ1年目だった2013年の春季キャンプでした。若い選手たちと定期的に面談する機会を得て、以降3年間、彼とも毎回じっくり話すことができました。
印象的だったのは、野球に関しては18歳にして既にプロフェッショナルに近い考え方をしていたこと。今後のキャリアをくっきりと描き、そのために何をすべきか、という目標設定が明確な選手だと感じました。そんな彼とどう向き合っていくのか。栗山英樹監督と共有していたのは、見守ってあげよう、守ってあげようということでした。ですから私が技術面で大谷に教えたことは一度もありません。逆に教わったことは沢山ありますけどね。
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photograph by Hideki Sugiyama