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[ドラフト同期の絆]“クソガキ”翔平と過ごした日々

2021/09/11
プロの第一歩を踏み出した大谷と「鎌ケ谷時代」を共にした、2013年ルーキーズの秘話。

 2012年11月22日。札幌市内で行われた日本ハムの新入団選手発表に、「主役」の姿はなかった。メジャー志望を表明していたにも関わらず指名を強行したドラフト1位・大谷翔平との交渉は難航していた。登壇した2位以下の6選手を脇に、栗山英樹監督には大谷をどう翻意させるのか、といった質問が次々に飛んだ。

 ルーキーたちも控室では“欠席者”の話題で盛り上がった。「一緒にやりたいけど、きっとメジャーに行くんだろうね」。そう言ってうなずきあった。

 大どんでん返しで入団を決めた「主役」と6人が初めて顔をあわせたのは、年が明けた'13年1月、千葉県鎌ケ谷市の二軍施設での自主トレの時だった。

 6位指名の右腕、屋宜照悟は、初めてキャッチボールした時のことが忘れられない。

「衝撃でしたよ。ワンバンが来る! と頭で認識してグラブを下に向けた瞬間、そのままノーバウンドでビューンって伸びてきたんです。あんな球を見たのは初めてです。こいつ化け物だなと思いました」

 5位指名の新垣勇人も、出会いを鮮明に覚えている。この年指名された12球団の新人で最年長の27歳でプロ入りしたオールドルーキーは、注目を集める9歳年下の右腕の存在に心浮き立っていた。

「トレーニングも自分で考えて取り組んでいて、高校生なのに高い目標を持っている選手だな、って。あとはカメラが凄かったので、僕は写り込もう、写り込もうって思ってました。目立ちたがりなんで。翔平の後ろでしっかり顔を作っていました」

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photograph by SANKEI SHIMBUN

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