最終節のRBライプツィヒ戦後、ピッチの上で泣く誠を見て、プレス席の私は鳥肌が立った。長年アイントラハト番を務めるが、一人の選手にこれほど心を掴まれたことはない。
思えば10年前、当時の監督アーミン・フェーが、ボランチのピルミン・シュヴェクラーの後継者として誰かを獲得するつもりで、「その選手が本当に獲れたら、さらに戦力が上がる」と言っていた。そしてやってきたのが誠だった(フェーはその後退任。トーマス・シャーフが就任)。
体の状態がいいのは“鬚”のおかげ?
彼は当時すでに30歳なのに先頭に立ってメニューをこなしていた。それを見た記者たちの関心は、「なぜ誠はそんなに体の状態がいいのか」というところに集まっていた。だから誠にその秘訣を聞いてみると、「フォルバート」という答えが返ってきた。「Vollbart(顔の下半分を覆うような鬚)」と聞こえた私たちは、「誠はきれいに剃っているのにどういうことだ?」と困惑したけれど、すぐに「Vollbad(全身浴)」のことだと分かり、大笑いになったのを覚えている。
特製トートバッグ付き!
「雑誌プラン」にご加入いただくと、全員にNumber特製トートバッグをプレゼント。
※送付はお申し込み翌月の中旬を予定しています
photograph by Itaru Chiba