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冨安健洋「勝利への執着心が足りなかった」アーセナルで身につけた“リーダーシップ”の発露<敗退後の空港で目撃した冨安は…>

2024/02/15
最終ラインを統率する男の奮闘は実らなかった。敗戦の弁に滲み出る深い内省とチームへの危機感。屈辱を糧に最高峰リーグでのさらなる成長を誓う。

「選手だけのミーティングをやってみてはどうですか?」

 2戦目のイラク戦で敗れた後、冨安健洋は、キャプテンの遠藤航に進言したという。以前はキャプテンに遠慮するところもあったようだが、今は違う。遠藤はこう話す。

「僕は自然体でいることを意識していて。それが結果的に、トミ(冨安)とか周りの選手に自主性のようなものをうながしているのであれば嬉しいですね」

 そんなリーダーシップは、公の場でも目にすることができた。

 大会3戦目の前日の記者会見。同席した森保一監督がボトムアップ型の組織の短所を問われると、冨安は身を乗り出した。

「僕にとっての質問ではなくて、森保さんへの質問だったと思うんですけど」と断りを入れてから、話し始めた。

「プレーが続いている試合中に(上手くいかなければ)ピッチ上の選手たちが変えないといけない部分はあります。僕や航くんなど、リーダーとなる選手が細かい調整をしていく必要があると思います」

勝利への執着心が劣ったという見方もできなくはない。

 そして、2月3日。イランに逆転負けを喫した試合終了直後でも冨安の行動はリーダーシップであふれていた。ピッチ上では、倒れ込んだり、下を向いて動けなくなる選手がいた。冨安も悔しそうな素振りは見せたが、勝った試合の後と同じように、審判団の元へ行き、右手を差し出した。

 そこから1時間もしないうちに取材エリアに姿を現わした冨安は、普段と同じ冷静さは保ちつつ、ときおり厳しい言葉を交えて試合を振り返っていった。

「正直、ピッチ上で熱量を感じられなかったというか、物足りなさは感じました。勝ちへの執着心が足りなかったです」

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photograph by Kazuhito Yamada (KAZ Photography)

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