偉大な記録を前に変化を怖れず走り続ける鉄人。年齢に抗わないヤット流の生き方とは。(初出:Number971号 [ヤットの流儀]遠藤 保仁「マジシャンからも学んでます」)
変化を怖れない。
走力を求められれば「結構走るヤット」、守備を求められれば「守りの迫力もあるヤット」。自分のプレーはこうだから、と決めつけない。監督の要望を取り込んで己のものにして、遠藤保仁はいつでもどこでもピッチに立ち続けてきた。日本代表の国際Aマッチ152試合出場は歴代トップ。J1通算は歴代2位の602試合で今季、楢﨑正剛の631試合を上回る可能性がある。ここまで出ずっぱりの人はほかにいない。ずっと働き詰めなのに疲弊を寄せ付けないのは、変化を楽しんでいるからなのかもしれない。
2019年が始まって、彼はまた変化のタネを見つけたようだ。昨季の終盤、9連勝をマークしてガンバ大阪をV字回復させた宮本恒靖監督体制2年目のシーズン。新しく就任したスペイン人フィジカルコーチのやり方を「面白い」と遠藤は感じている。
「サッカーに関わる動きのなかで体幹をいじめるとか腹筋を鍛えるとか、重りを持たないでサッカーをやりながらという感じです。気持ち的にいい刺激になっているし、コーチのトニと話をしながら進めています。前任者のコーチは真逆のアプローチでしたけど、これはどっちが良い、良くないとかじゃない。自分のなかで両方の意見をうまく吸収したいというのはありますよね」
言わば、いいとこどり。昨季はスプリント力を維持するために、前任者の韓国人コーチと話し合って「全体練習とは別で、週に2回マックスで走るのを5本入れていた」。効果を感じたものは踏襲しつつ、新しいやり方を最大限に活かそうとする。
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photograph by Asami Enomoto