「私には結末が分かっている」1994年、西武との日本シリーズを翌日に控えたミーティングで巨人の長嶋茂雄監督(現・終身名誉監督)は突然、こんなことを言い出した。
「勝つのは我々だ! 1勝1敗で敵地に乗り込み第5戦で王手をかけて4勝2敗で日本一になる!!」
この年の巨人はシーズン終盤に大失速。いわゆる「10・8決戦」で中日を振り切りリーグ優勝を果たしたが、チーム状態はどん底だった。迎えた日本シリーズでは森祇晶監督率いる円熟期の西武と激突する。下馬評は圧倒的に西武有利。その中で長嶋が発した常識外れの予言に、当初は呆れ、嘲笑を浮かべる者も少なくなかった。
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photograph by Takuya Sugiyama