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《独占告白》「井上をKOで倒す」マーロン・タパレスが語る原点の“1700ペソ”と井上尚弥の「少しの隙」<12月26日に対戦>

2023/12/12
井上とフルトンの一戦を見届けたタパレスは、リングの上で統一戦を誓った
12月26日、有明アリーナで4団体王座統一戦が行われる。未だ無敗、最強の“モンスター”と拳を交えるのは、フィリピンの農村地帯で生まれ育った稀代のサウスポーだ。打倒井上。その思いを胸に、全てを賭してリングに上がる。その日を前に、一心不乱に牙を研ぐ31歳の王者を訪ねた。

――君はライトフライ級でプロデビューし、バンタム級やスーパーバンタム級では世界タイトルを獲ってきた。そして今回、統一王座をかけて井上尚弥と拳を交える。そもそも井上のことは意識していた?

「もちろん前から知っていたけど、本格的に分析し始めたのはバンタム級で4団体の統一王座になり、この階級でも同じことを狙っているという話を聞いてからだった。

 井上がそんな目標を持っているとわかったときは、すごく興奮したね。結局、僕も井上も同じ野心を持っているわけだろう? だから、いずれは彼と戦うことになるだろうと思っていたんだ」

――井上は父親の影響でボクシングを始め、ここまで上り詰めてきた。君の場合、ボクシングを始めたきっかけは?

「子供の頃はボクサーになるなんて夢にも思わなかった。家族にもボクシングをやっている人間は一人もいなかったからね。

 でも軍隊に行っていた兄が休暇で帰ってきた時に、ボクシンググローブをプレゼントしてくれたんだ。それをきっかけに小さなサンドバッグを作って、自分なりにトレーニングをし始めた。あれはたしか6歳か7歳くらいの頃だったと思う」

Getty Images
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――プロに転向したのは?

「16歳のときだね。それまではアマチュアレベルだったし、単なる遊びの延長で、見様見真似で試合をするような具合だった。

 でも、ある時、試合のファイトマネーとして1800ペソ(現在のレートで約4700円)をもらったことがあって、それから考え方が変わったんだ。当時の僕にしてみれば、かなりの大金だったからね」

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photograph by Hiroaki Yamaguchi

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