新時代到来を予感させたのは2023年の全豪オープンだった。車いすテニスの王者、国枝慎吾が大会開幕直前に引退を表明。本人からの電話でそれを知った小田凱人は「驚いたが、自分が頑張らないと、しっかりとつなげていかないとだめだと、責任を強く感じている」と大会に臨んだ。
準決勝に勝つと「国枝選手が引退してから初めての大会、勝つべき人は僕だって気持ちで常に試合に挑んだ」と後継者の気概を見せた。四大大会デビューは'22年全仏。そこから4大会目で、早くも初の四大大会決勝進出を成し遂げた。
世界ランク1位のアルフィー・ヒューエットに敗れ、「自分が出せることをすべて出したが、相手が僕より強かった。実力不足っていうだけだった」と唇を噛んだが、大胆にポジションを上げて打ち込むウィナーや、不利な体勢からのカウンターは誰にも真似のできないショットであり、我々は国枝のバトンが確かに小田に渡ったことを知った。
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