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「今のままでは絶対に勝てない」21歳の石川祐希が「自分の弱さ」を見たリオ五輪予選とイタリア挑戦の“すみっこ”<インタビュー/2016年>

2023/10/07
リオ五輪を視察し、切符を逃した屈辱と強い危機感を募らせた日本のエース。再び世界へと向かう覚悟を語った。(初出:Number912号[未来への新たなる船出]石川祐希 世界と戦うために。)

 沸き上がってきたのは、言いようのない悔しさと危機感だった。

 8月、石川祐希はリオデジャネイロにいた。

 バレーボール全日本男子は、今年5月から6月にかけて行われたリオデジャネイロ世界最終予選で五輪出場権を逃していた。しかし石川は、最高峰の戦いを目に焼きつけるため五輪会場を訪れた。

「やっぱりあの舞台でやりたかったなと思いました。他の国の選手を見てても、ちょっとモチベーションが(他の大会と)違うように見えました。とにかくブラジルの勢いがすごかった。『ホームで戦ってるな!』という感じがすごくしましたね」

 熱狂的な地元観客の応援を力に変え、金メダルに輝いたブラジル代表。その姿を4年後の自分たちに重ね合わせ……られるほど、石川の頭はお気楽ではない。

「リオみたいな雰囲気の中でやってみたいなという気持ちはあります。でも日本開催だとまた別の雰囲気になるのかなと思う。人も文化も違いますからね」と苦笑する。

 何より、世界トップと今の日本の力の差は、応援の後押しで埋められるレベルのものではない。

「リオのあの舞台で試合をするかしないかで全然違う。また差が開くんじゃないかな、と感じました」

 改めて逃したものの大きさを噛みしめた。

乗り切れない石川はサーブなど他のプレーでも精彩を欠いた。

 2大会ぶりの五輪出場を目指して戦ったリオ五輪世界最終予選で、日本は2勝5敗、8チーム中7位に終わった。

 昨年9月のワールドカップでは、石川や柳田将洋ら若手が躍動した。強力なサーブで攻めて相手を崩し、堅い守備で拾ったボールを石川や清水邦広らが果敢に決めて強豪とも競り合い、観るものを惹きつけた。

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photograph by Motoko

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