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「精神的にしんどい時期が…」「レースの記憶が一切ない」池江璃花子が振り返る激動の春〜インタビュー連載〜

2023/05/24
新しい春が来て、ようやく長いトンネルを抜け出した。日本選手権で4冠。自由形とバタフライで代表の座を掴んだ。自身6年ぶりとなる7月の世界選手権に向けて手応えを聞く。

 去年からずっと、精神的にしんどい時期が続いていました。どうしても自分に自信が持てなくて、悪い方にばかり考えてしまって。一人じゃどうしようもできないこともあったので周りに協力してもらいながら、少しずつネガティブな考え方を正すようにしてきました。如何に自分のメンタルの波を作りすぎないようにするか。4月の日本選手権直前は特にそれを意識していました。そういう少しずつの努力や周りのサポートの積み重ねで、最終的にああいう結果に行き着いたんじゃないかなと思います。

 泳ぎ込みの練習で体がきつい中、2月のコナミオープンの100m自由形(1フリ)で勝てたことはすごく自信になって、ホッとしました。

 勝負の世界なんだから、勝たないと面白くない。レースではいつも勝っていたのでタイムばかりにこだわっていたけど、今はみんながライバル。その中で勝つことが今の自分にとって一番必要なこと。負けて面白いと思う人はいないと思うし、みんな勝つために練習を頑張って試合に臨んでいる。その中でも自分は絶対に一番を取りたい。誰よりも速いんだ、強いんだと思ってトレーニングをしています。そうじゃないと私は多分この競技をできないんじゃないかな。

日本選手権初日の100mバタフライでは復帰後ベストを更新
日本選手権初日の100mバタフライでは復帰後ベストを更新

 とはいえ、相変わらずまったく自信がないまま日本選手権を迎えました。

 実は、初日の100mバタフライ(1バタ)の朝、起きたら体調がすごく悪かったんです。喉が痛くて、扁桃腺、リンパが腫れていて。これはちょっとまずいなと思いながら予選のレースを泳ぎました。その後ホテルで昼寝して起きたら、めちゃめちゃ体が重くなっていて。やばいな、大丈夫かなという気持ちで、決勝前のウォーミングアップを300mだけにして、体が冷える前に切り上げました。

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photograph by Asami Enomoto

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