主役候補はソールオリエンスだけではない。長く続いた西高東低時代に終わりを告げるべく、美浦には爆発力を秘めた大器が揃う。
21世紀の日本ダービー史は、関東馬の3勝19敗。皐月賞6勝4敗の直近10年に限っても、ダービーでは2勝8敗と大きく負け越している。この厳しい現実から目を背けるわけではないが、今年は歴史の転換点になる気がしてならない。東軍のラインナップが空前絶後の量と質を誇るからだ。
東西のダービートライアルが終了した時点で、優先出走、賞金順上位の馬が無事にゲートインすれば、フルゲート18頭のうち10頭を関東勢が占める状況にある。出走頭数の過半数が関東馬となれば、1989年(出走24頭に対し17頭)以来、実に34年ぶり。レジェンド藤沢和雄元調教師が初めて管理馬(ロンドンボーイ)をダービーに送り出した年、といえばその歳月の長さが染みわたるだろう。東西同数出走になったとしても'98年以来の事態となる。
主役は無論、ソールオリエンス。その無敗の皐月賞馬に挑戦状を叩きつけるのが同じキタサンブラック産駒スキルヴィングだ。皐月賞には目もくれず、ダービーに照準を絞ったローテーション。3連勝を決めた青葉賞は終始、馬群の外々を走る安全運転ながら、レース史上3位の好時計2分23秒9をマーク。優勝請負人クリストフ・ルメールをして「GIホースだ」と言わしめた。木村哲也調教師は「道中下げざるを得ない状況になるなど、簡単なレースではなかった。よく勝った」と振り返る。日程だけでなく、調整過程も本番を見据えたもの。
「青葉賞で終わりの馬じゃない。そう、強く思って調教してきました。その中で強敵ハーツコンチェルトに勝ちきってくれたわけですから、自信にしていいはずです」
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