#1072
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「ムネさんはHave Funだよって」ティモンディ・高岸宏行は栃木で雨ニモ負ケズ[独立リーグ2年目の決意]

2023/04/29
名門・済美高出身の芸人は昨年、プロ野球選手として再びマウンドに立つことを選んだ。芸能界でも野球界でも異質な男の挑戦は、どのようにして受け入れられたのか。本人、チームメイト、マネージャーの証言から、2年目を迎えた“二刀流”生活に迫った。(原題:[独立リーグ2年目の決意]高岸宏行「学生時代とはまったく違う」Number1072号掲載)

高岸宏行⇔栃木のチームメイト<コミュニケーションの極意>
①年下選手にも積極的に話しかける
②周囲の雑音を気にしない
③相手のホームランに拍手

◆◆◆

 新幹線なら東京から1時間弱、しかし本数が少ないため在来線に2時間近く揺られて小山駅に到着した。ここからさらに車で20分ほど走る。長閑な桜並木を越えた先に小山運動公園野球場はあった。売れっ子芸人がしばし経験する東京大阪間の新幹線移動とは異なる「長さ」を感じた。ここに高頻度で通うのは大変だろうなとも思った。

 しかしティモンディ高岸宏行は、プロ野球選手2年目のシーズンを栃木ゴールデンブレーブスで迎えることを選んだ。

 オールバックにオレンジ色のスーツの印象が強すぎて、この長身でガタイのいいサラサラヘアーの投手が高岸だと気づくまで少し時間がかかった。三塁側のファウルゾーンにブルーシートが敷かれ、投手陣はそこでストレッチを行なっている。「そのサングラス、どこのですか?」「このウェアは着圧がいいんだよね」……チームメイトと他愛もない話をしながら長時間移動でこわばった体をほぐす。周囲を元気に鼓舞する芸人高岸ではなく、ニコニコしながら若手選手の話を聞くお兄さん高岸の周りには自然と人が集まり、輪が生まれていた。

「最初はやっぱりぎこちなかったですよ。皆さん気を遣っていたと思います」

 三塁側スタンドで高岸の様子を見守っていた所属事務所のマネージャー・吉田潤氏は言う。

「年齢的にも上なので、自分から積極的に話しかけてより近寄りやすい環境は作っていたと思います。でもやっぱり初登板の後からじゃないかな。一回投げたらわかってくれた気がします。お互い選手だから」

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photograph by Manami Takahashi

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