#885
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「手紙なんて剃刀の刃が…」掛布雅之×吉田義男×岡田彰布が語った“1985年のありえない熱狂”《レジェンド初鼎談/2015年》

2023/10/28
虎党にとっては“神”ともいえるレジェンド三人が、球団創設80周年、あの日本一から30年のいま一堂に会した。栄光の1985、最強チームはいかにしてつくられたのか。虎を愛し、虎に愛された男たちの、本邦初の特別鼎談!(初出:Number885号 掛布雅之×吉田義男×岡田彰布 1985レジェンド初鼎談「猛虎に惚れた人生やから」 井坂善行=司会/内匠宏幸=取材協力)

吉田 歳を取る、いうのはエエことやな。昔のことをこうして集まって話せるのは、幸せなことでっせ。

岡田 三人で話すのは初めてですよね。

掛布 本当に初めてだね! しかし今年は80周年ということで、我々の’85年の日本一があらためて取り上げられることも多いでしょう。これは光栄であり嬉しくもある半面、恥ずかしいような。たった1回の優勝をここまで引っ張るか、という(笑)。

――星野仙一監督の’03年、岡田監督の’05年もリーグ優勝はしてますけど、事あるごとに’85年まで戻ってしまうんですよね。

岡田 やっぱり(その後の優勝は)日本一じゃないからなあ。

吉田 そうですな。ただ、’85年の時は野球で勝った、負けた、ということだけじゃなくて、社会現象が起きていたということが語り継がれていく要因やないですか。

――熱くなった阪神ファン同士が喧嘩して死亡した、なんてこともありました。

吉田 優勝したときは道頓堀や梅田がえらい騒ぎで、タクシーがひっくり返されたとかなんとか、言われてましたなあ。

掛布 最近はそこまでじゃないですからね(笑)。実は僕が’85年と聞いて思い出すのは、今は亡き小林繁さんのことなんですよ。

吉田 というと?

掛布 あの頃、江川(卓)との「空白の一日」のトレードで阪神に入ってきた小林さんが、「巨人には伝統はあるけど、阪神には伝統がない」ということをよく言っていたんです。僕はまだ若くて、「何を言ってるんだこの人は」と思ってたけど、今こうして80周年で色んなイベントに出させてもらっていても、結局’85年のことばかり聞かれる。だから、阪神は歴史はあるけど伝統はない、っていう小林さんの言葉が初めて判るようになった。

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photograph by Yoshiyuki Hata

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