やっぱり勝ちたかったんだな。
勝利に沸くクロアチアの選手たちを眼にし、そんなふうに思った。1-1で延長戦が終わるまでの彼らは、「本当に上へ行きたいのか」と思うような内容だった。けれど、嫌な不気味さがずっと漂っていた。
日本へのリスペクトなのか、鎌田大地や伊東純也、三笘薫に仕事をさせまいと、日本の強みを消してきた。
もちろん、焦りも当然あっただろう。けれど、パスミスやシュートミスでチャンスを潰しても、淡々としているように見えた。
クロアチアの選手からは、ワールドカップという特別な大会を戦っているという気負いが感じられなかった。ワールドカップでも、ロングボールを蹴るし、クロス一辺倒で何が悪いんだ……というように、当たり前にサッカーをプレーしていた。やるべきことをやり続ければ、結果は自ずとついてくる……そんな落ち着きは、ワールドカップで準優勝をした経験が影響しているのかもしれない。人口410万人ほどの小国が世界2位になるなんて、とんでもないことだと、試合が終わって、改めて思った。
120分間、日本はクロアチアと五分と五分で対峙していた。しかし、「あのクロアチアと……」というふうには思わなかった。確かにクロアチアにはモドリッチをはじめ、数名の特別な選手もいるが、日本のメンツが見劣りするものではなかった。くわえて、ネーションズリーグや今大会グループステージでのクロアチアを見ていれば、恐れる相手とは思わなかった。
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photograph by Miki Sano