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海を渡ったダービー馬たち「初の生中継もされたシンボリックな挑戦」

2022/05/21
シンボリルドルフ――競馬界の期待を背負った皇帝は、芝とダートの継ぎ目で脚を負傷。これが引退の引き金に
ハクチカラによるアメリカ遠征から63年。シャフリヤールのドバイでの勝利は、日本ダービー馬として初の海外GI制覇だった。海峡を越えて戦った、世代最強馬たちの勇姿を総まくり。

 千葉のシンボリ牧場には2頭のダービー馬用の廐舎があった。シンボリルドルフが目を光らせ、近づく人を威嚇している隣の馬房で、シリウスシンボリは信じられないほどおとなしくしている。出遅れ、進路妨害失格、のちに他馬を蹴ったりする粗暴な馬も、偉大な先輩の前では頭があがらなかった。

 '85年日本ダービー。騎手の起用を巡っての転厩騒動もあったが、シリウスシンボリは加藤和宏を背にして圧勝した。重馬場の芝コースを、大外から豪快に抜けだしてきた。

 その2カ月後、シリウスシンボリはイギリスのキングジョージVI&クイーンエリザベスステークスに出走し、岡部幸雄が乗って8着だった。レースの模様はフジテレビ系列で生中継されている。海外のレースが生中継されるのはこのときが初めてで、フジテレビのスタジオには新聞記者や評論家も集まっていた。

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photograph by Hisae Imai/JRA

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